STEM + LIBERAL ARTS

今、シリコンバレーをはじめとする最先端の教育現場では、デザイン思考をクラスルームに取り入れ、Science 科学、Technology 技術、Engineering エンジニアリング、Mathematics 数学といった従来の理・数・工学(STEM、ステム)分野に、芸術・デザインに加えて、哲学・文学・倫理学・史学・文化人類学などリベラル・アーツ領域の視点や手法をとりいれた「STEAM」が、将来の人材を育てる鍵として世界の注目を集めています。

デザイン思考を取り入れたSTEAM教育の特色は、グループで課題の取り組み、インタビュー、ブレーンストーミング、プロトタイプ作り、フィードバックを通じて、発想力、コラボレーション力、積極性、そして、失敗を怖がらないレジリアンス力が育つことです。

※いま世界が注目する「STEAM」とは何かもっと詳しく知りたい方は、こちら

スタンフォード大学、それを取り巻くシリコンバレーには、STEMの専門性を使って活躍する人材溢れていますが、その中には多くの女性たちも含まれています。ロボットに硬い、柔らかいという感覚を与える研究をする機械工学者アリソン・岡村教授、人間中心のAI研究を先導するコンピューター科学者フェイフェイ・リー教授、そして、脳科学とロボット工学を融合する新領域「ニューロ・ロボティックス」の開拓者として知られる松岡ヨーキー博士。

彼女らの活躍を理解するのに鍵を握るのがS T E A Mという概念です。理数系の科目と実学のスキル向上を目指すためのアプローチとして生まれたのが「S T E M」という概念です。それに「A」が加わったのがS T E A Mなわけですが、このAに当てはまるのは、往々にして、アートやデザインと思われがちです。最先端のテクノロジーや複数の領域を使いで研究や開発のプロセスをデザインする能力だけではなく、相手の視点に立つ「エンパシー」を忘れずに 常に「人間を中心に発想している」という態度なのです。

彼らは素晴らしいテクノロジストでありながら、決して初めにテクノロジーありきではない。インタビューをしていると、共通して「人間のために役に立ちたい」という熱い思いがあることがわかります。人類に役立ちたいから、それぞれがS T E Mの専門性を研鑽し、複数の領域を越境しています。つまり自分たちの専門性はツールであって、目的ではない。

したがって、素晴らしい活躍をするS T E A M人材になるには、この「人間を大切にする心」を育てることが何より大事ではないかというのが、シリコンバレーの最先端で活躍する人々から私たちが学んできたことです。

 

STEAM IN JAPAN

世界の生徒の学力を測定するPISAのテスト結果を見ると、日本の女子高校生は、数学やサイエンス科目でも世界トップの成績を誇っています。しかし、その後、大学で技術系やサイエンス系の専攻を選択する女子学生の割合は、最低レベルに落ち込んでしまうのです。

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子供にSTEM領域の職に就いてほしいという親の期待感を調べたところ、日本では、例え15 歳の息子と娘の数学の成績が同じ場合でも、男女格差があることがわかっています。「男の子だから」「女の子だから」という期待値の違いが、子供たちが潜在性をフルに発揮するチャンスをそいでいる可能性があります。

 昨今「リケジョ」という言葉を聞きますが、ここに込められた「特殊で例外的」というニュアンスには、同様に「女子は文系」という社会的風潮が反映しているとも考えられ、これが女子学生のモチベーションに影響し、結果として 数学やサイエンス領域のパフォーマンスに影響していると想像できます。

ものづくりや実験がすきなら、女子にとっても男子にとっても、STEMは面白い分野です。これから多くの女子がステムに入っていく事で、これまでこれまでと異なる発見や発展を遂げることができる領域です。

より多くの日本の女子生徒が、良い成績を修めるだけで終わらず、勇気と自信を持ってステム分野に乗り出し、活躍していくためには、早くから人間を大切にする視点を養って、STEAMを自分の中に取り入れていくことが重要です。そのためのツールとして、デザイン思考を身につけるレーニングが有用なのです。

女の子が学びやすい環境とカリキュラムのなか、のびのびと楽しみながらイノベーション、科学、エンジニアリングに目を向けるスカイラボのデザイン思考ワークショップ。是非、挑戦してみてください。